クレーム対応において、自社に明らかなミスがある場合の謝罪よりも難しいのが、自社に落ち度がない場合の対応です。
お客様の勘違いや理不尽な要求に対し、「下手に謝って責任を認めたくはないが、無下に断って角を立てたくもない」と、返信内容に頭を悩ませる担当者の方も多いのではないでしょうか。対応を一歩間違えると、二次クレームや炎上に発展しかねません。
この記事では、自社に落ち度がない場合の対応スタンスや、ケース別にそのまま使えるメール例文を紹介します。また、相手を不快にさせずに断るためのクッション言葉やマナーについても詳しく解説しますので、ぜひ適切な対応にお役立てください。
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自社に落ち度がない場合のクレーム対応のポイント
まずは、自社に落ち度がない場合のクレームに対応する際のポイントについて、詳しく見ていきましょう。
まずは冷静に事実関係を確認する
クレームを受けた際は、即座に返信するのではなく、まずは冷静に事実関係を確認しましょう。お客様の主張が正しいのか、それとも勘違いなのかによって、取るべき対応は異なります。
たとえば、「商品が届かない」というクレーム一つをとっても、こちらの発送ミスなのか、配送業者の遅延なのか、あるいは顧客の確認不足なのかによって、取るべき対応や謝罪の有無は異なります。
事実確認をおろそかにして曖昧な返答をすると、後から事実と異なることが判明した際に訂正が難しくなり、かえって不信感を招く原因になります。まずは客観的な事実を把握することが、適切な解決への第一歩です。
責任を認める「全面的な謝罪」はNG
こちらの落ち度がないことが確認できた場合、責任を認めるような「全面的な謝罪」は避けるべきです。
とりあえず場を収めようとして「大変申し訳ございませんでした」と全面的に謝罪してしまうと、自社に非があることを認めたことになります。その結果、不当な返品や補償を求められた際に断りづらくなり、法的にも不利な立場に立たされるリスクがあります。
もちろん、相手を不快にさせたことへの配慮は必要ですが、「弊社のミスでした」と誤認させるような表現は使わないよう注意が必要です。
心情や手間に配慮する「部分謝罪」を行う
全面的な謝罪は避けるべきですが、相手の心情や手間に対して限定的に謝罪する「部分謝罪」は積極的に行いましょう。
部分謝罪とは、「お問い合わせの手間を取らせたこと」や「不快な思いをさせたこと」に対してのみ謝るテクニックです。以下に具体例を示します。
| ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません(心情への配慮) |
| ご確認のお手間をおかけし、恐縮です(手間への配慮) |
このように、事実としての責任は認めずとも、相手の感情に寄り添う姿勢を見せることで、相手の怒りを鎮め、冷静な対話ができる土台を作ることができます。
毅然とした態度で事実と理由を説明する
できないことは「できない」と、毅然とした態度で事実と理由を説明することが重要です。
曖昧な態度は、相手に「強く言えば要望が通るかもしれない」という期待を持たせ、要求をエスカレートさせる原因になります。以下のように、納得感のある理由を添えて明確に伝えましょう。
| 公平性を保つため、個別の対応はいたしかねます |
| 利用規約に基づき、返品はお受けできません |
ただし、毅然とする=冷たくするという意味ではありません。言葉遣いはあくまで丁寧かつ低姿勢を保ち、相手を尊重しつつも、譲れない一線を守る姿勢がプロの対応です。
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自社に落ち度がない・理不尽な場合のメール例文
ここからは、自社に落ち度がない場合や、理不尽な要求を受けた際にそのまま使えるメールの例文を、シーン別にご紹介します。
お客様の勘違い・確認不足である場合
お客様の操作ミスや確認不足が原因であるケースです。相手のミスを直接指摘するのではなく、「ご案内がわかりにくかったこと」への配慮を示しつつ、正しい手順を案内するのがポイントです。
| 件名:お問い合わせいただいた「〇〇」の操作手順につきまして 本文: 〇〇様 平素より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。 カスタマーサポートの山田でございます。 この度は、「〇〇が動かない」とのことで、 ご不便をおかけしており申し訳ございません。 いただいた内容をもとに状況を確認いたしましたところ、 設定の一部が「オフ」になっている可能性がございます。 わかりにくい仕様となっており恐縮ですが、 以下の手順にて再度ご確認いただけますでしょうか。 1. 設定画面を開く 2. 「〇〇」の項目を「オン」にする お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。 ご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。 |
サービス仕様やルール上、要望に応えられない場合
「返品期限を過ぎているが返金してほしい」など、ルール上対応できないケースです。「公平性を保つため」などの正当な理由を添えて、特例対応はできない旨を明確に伝えます。
| 件名:商品の返品・返金対応につきまして 本文: 〇〇様 いつも弊社商品をご愛用いただき、ありがとうございます。 株式会社〇〇 サポート担当でございます。 この度は、商品の返品をご希望とのこと、承知いたしました。 せっかくご購入いただいたにもかかわらず、ご期待に添えず申し訳ございません。 お問い合わせいただいた返品の件ですが、 弊社利用規約に基づき、商品到着後〇日以上経過した商品につきましては、 あいにく返品・返金をお受けすることができません。 全てのお客様に同様のルールで対応させていただいておりますため、 何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。 ご希望に添えず大変心苦しいのですが、 今回は現状のままでご使用いただけますと幸いです。 今後とも弊社商品をよろしくお願い申し上げます。 |
配送業者の遅延など、外部要因の場合
悪天候や配送業者の事情など、自社の責任ではないケースです。自社のミスとは認めずとも、「商品が届くまでの体験」全体への配慮として、配送業者への確認状況などを報告し、協力姿勢を示します。
| 件名:商品「〇〇」の配送遅延につきまして 本文: 〇〇様 平素よりご利用いただき、誠にありがとうございます。 株式会社〇〇の山田でございます。 ご注文の商品がまだお手元に届いていないとのこと、 ご心配をおかけし誠に申し訳ございません。 配送状況を確認いたしましたところ、 現在、大雪の影響により配送業者の集荷センターにて遅延が発生しているようです。 配送業者に確認したところ、明日【〇月〇日】中にはお届けできる見込みとのことでございました。 天候による影響とはいえ、楽しみにお待ちいただいている中、 お届けが遅れておりますことをお詫び申し上げます。 商品到着まで、今しばらくお待ちいただけますでしょうか。 引き続きよろしくお願いいたします。 |
理不尽な要求・カスタマーハラスメントに近い場合
金銭的な補償や過度な謝罪を求められるなど、度を超えた要求への対応です。毅然とした態度で「対応できない」と伝え、これ以上の議論は難しいことを示唆します。
| 件名:今後の対応につきまして 本文: 〇〇様 株式会社〇〇の山田でございます。 再度のご連絡をいただき、ありがとうございます。 〇〇様のお気持ちは重々承知しておりますが、 本件につきましては、前回ご回答いたしました通り、 これ以上の対応はいたしかねます。 弊社のサービス基準に照らし合わせましても、 今回ご要望の金銭的な補償には応じることができません。 度重なるご要望をいただきながら、お力になれず恐縮ですが、 弊社の最終的な回答とさせていただきます。 何卒ご了承いただけますよう、お願い申し上げます。 |
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相手を不快にさせない「断り方・クッション言葉」
自社に落ち度がない場合でも、断り方ひとつで相手の印象は大きく変わります。ここでは、相手の感情に配慮して不快にさせない「断り方・クッション言葉」を紹介します。
「できません・無理です」などの否定語を避ける
断る際は、「できません」「無理です」といった直接的な否定語は避けるべきです。これらの言葉は相手を突き放すような冷たい印象を与え、火に油を注ぐ可能性があるからです。
例えば、「対応できません」ではなく「対応いたしかねます」、「無理です」ではなく「難しい状況です」と言い換えるのがおすすめです。さらに、「〇〇なら可能です」と代替案を提示すれば、拒絶ではなく協力姿勢を示せます。
否定のニュアンスを和らげ、相手に寄り添う表現を心がけることが、円満な解決への近道となります。
便利なクッション言葉一覧
断りの文章の前には、必ず「クッション言葉」を挟むようにしましょう。いきなり結論から伝えると相手への衝撃が強すぎますが、一言添えるだけで「申し訳ない」という配慮が伝わり、印象が大きく和らぐからです。
以下の表を参考に状況に応じたクッション言葉を使い分けましょう。
| シーン | クッション言葉の例 |
| 断る・辞退する時 | ・あいにくですが ・ご希望に添えず恐縮ですが ・大変心苦しいのですが ・誠に残念ではございますが |
| 依頼・手間をかける時 | ・恐れ入りますが ・お手数をおかけいたしますが ・ご多忙中とは存じますが ・ご足労をおかけしますが |
| 言いにくいことを伝える時 | ・申し上げにくいのですが ・恐縮ではございますが ・差し支えなければ ・失礼とは存じますが |
これらを本題の前に置くことで、相手の心情的なハードルを下げ、円滑なコミュニケーションが可能になります。
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クレーム対応メールの「件名」と「締め・結び」のマナー
メールを開封する前段階である「件名」や、読後感を左右する「結びの言葉」も重要です。細部まで誠意を行き届かせることで、相手の不信感を払拭し、関係修復につなげましょう。
件名は一目でお詫びとわかるようにする
クレーム対応メールの件名は、一目で「お詫び」や「報告」であるとわかるように具体的に記載しましょう。怒りを感じている顧客は対応を急いでおり、件名が曖昧だと「後回しにされた」「誠意がない」と不信感を募らせるからです。
単に「ご連絡」とするのではなく、「【重要】商品〇〇の配送遅延に関するお詫び」「お問い合わせいただいた〇〇の件につきまして」のように記します。開封する前から誠意と緊急度が伝わる件名にすれば、相手の感情を逆なですることなく、スムーズに内容を読んでもらえます。
相手の怒りを鎮める「締め・結び」の言葉
メールの最後は、謝罪だけでなく、貴重な意見をくれたことへの感謝で締めくくるのがマナーです。謝罪のみで終わるとネガティブな印象が残りますが、感謝を伝えることで相手の承認欲求が満たされ、怒りを鎮める効果があるからです。
具体的には、以下のような言葉を選びます。
| この度は貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました |
| 今後とも弊社サービスをよろしくお願い申し上げます |
終わりよければ全てよしとなるよう、未来志向のポジティブな言葉で結び、関係修復の糸口を作りましょう。
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クレームへの返信に「さらに返信」が来た場合の対応
クレーム対応メールを送った後、お客様から返信が届くことがあります。解決したのか、まだ納得されていないのかによって、その後の対応は異なります。
ここでは、相手のリアクションに応じた適切な「返信への返信」方法を、状況別に見ていきましょう。
納得・解決の返信が来た場合(お礼メール)
こちらの説明に対し「分かりました」「今回は仕方ないですね」といった納得の返信をいただいた場合、そのままやり取りを終えてはいけません。
ご理解いただいたことへの感謝と、今後も利用してほしいという気持ちを込めて、最後にお礼のメールを送るのがマナーです。丁寧なクロージングを行えば、一度はトラブルになった相手とも良好な関係を維持できます。
| 件名:Re:【ご報告】〇〇に関するお問い合わせにつきまして 本文: 〇〇様 株式会社〇〇の山田でございます。 お忙しい中、ご返信いただき誠にありがとうございます。 本件につきまして、〇〇様にご理解いただけましたこと、心より感謝申し上げます。 この度はご心配をおかけいたしましたが、 今後とも弊社サービスを快適にご利用いただけるよう、 より一層のサービス向上に努めてまいります。 引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。 |
まだ納得しておらず、議論が続く場合
こちらの説明に納得されず、さらに反論や厳しいお言葉が返ってくる場合もあります。この時、メールだけで説得を続けようとするのは危険です。
文字だけのやり取りは感情の行き違いを生みやすく、「誠意がない」「逃げている」と誤解されかねません。何度かメールを往復しても平行線である場合は、電話対応への切り替えを提案するのが誠実な対応です。
| 件名:Re:【ご報告】〇〇に関するお問い合わせにつきまして 本文: 〇〇様 株式会社〇〇の山田でございます。 ご返信いただき、ありがとうございます。 弊社の対応につきまして、〇〇様にご納得いただけていない点があり、 ご不快な思いをさせてしまっていること、深くお詫び申し上げます。 本件につきまして、これ以上メールの文章のみでお伝えすることは かえって失礼にあたると存じますので、 一度、お電話にて直接ご説明をさせていただけないでしょうか。 本日、この後〇時〜〇時の間に、お電話を差し上げてもよろしいでしょうか。 もしご都合が悪い場合は、ご指定の時間に改めてご連絡いたします。 お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。 |
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この記事では、自社に落ち度がない場合のクレーム対応メールについて、書き方のポイントや断り方のマナー、そのまま使える例文を解説しました。
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この記事を参考に、迅速かつ誠実な対応を行い、ピンチを信頼回復のチャンスに変えていきましょう。
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